公的保障・医療・病気
独立して国民健康保険へ。休業保障も同じ?傷病手当金の扱いを確認
会社を辞めて独立し、自営業やフリーランスとして働き始めた。健康保険も国民健康保険(国保)に切り替えた。病院にかかったときの給付があるなら、病気で働けない間の保障も、会社員のときと同じでしょうか? この記事では、医療費の保障と休業中の収入の保障の違い、国保で確かめること、退職前の健康保険の傷病手当金を引き続き受け取れる場合の扱い、独立後の家計の見直し方を整理します。
2026年10月2日時点の制度にもとづく一般的な説明です。年齢・加入歴・所得・家族関係などの条件があり、支給の可否は各制度の窓口が個別に判断します。
同じとは限りません。医療費の給付があることと、休業中の収入を補う手当があることは別です。市区町村の国民健康保険では、会社員の健康保険と同じ傷病手当金が、一般的に用意されているわけではありません。国保組合などに独自の給付がある場合もあるため、加入先に確かめましょう。退職前の健康保険の傷病手当金を一定の条件で引き続き受け取れる場合は、別の扱いです。
この記事のポイント
- 医療費の保障と休業保障は別
- 国保の休業中の手当は加入先で確認
- 退職前からの継続給付は別の条件
目次
国保に切り替えても、医療費の保障と休業保障は別
病気やけがのときのお金の保障は、2つに分けて考えると整理しやすくなります。病院で払う医療費の負担を軽くする保障と、働けない間の収入を補う保障です。同じ健康保険の給付でも、目的がまったく違います。
国民健康保険にも、病院にかかったときの医療費の給付があります。ただ、医療費の給付があることと、休業中の収入を補う手当があることは別です。会社員の健康保険から国保に移ると、休業中の手当の扱いが変わることがあります。
医療費の保障
- 病院で払う医療費の負担を軽くする
- 例:高額療養費制度
- 国保にも医療費の給付がある
休業中の収入の保障
- 病気やけがで働けない間の生活費を支える
- 例:会社員などの健康保険の傷病手当金
- 国保では、加入先ごとに扱いを確かめる

健康保険を国保に切り替えても、休んだときの手当はそのまま続くと思っていました。
会社員などの健康保険には、条件を満たすと、休業中の収入を補う傷病手当金があります。対象になる条件や額の考え方は、会社員の傷病手当金の条件と額の記事にまとめています。
国民健康保険に傷病手当金はある?加入先で扱いを確認
市区町村の国民健康保険では、会社員の健康保険と同じ傷病手当金が、一般的に用意されているわけではありません。会社員のときと同じ手当があるつもりで独立後の家計を考えると、病気で休んだときの見込みが大きくずれるおそれがあります。
ただし、国保の加入者は休業中の手当を受け取れない、と言い切れるわけでもありません。国保には、加入先が独自に定めて行う任意給付という仕組みがあり、その内容には加入先によって差があります。また、同じ業種の人などでつくる国民健康保険組合(国保組合)には、独自の給付を設けているところもあります。
| 加入先・場面 | 休業中の手当の考え方 | 問い合わせ先 |
|---|---|---|
| 会社員などの健康保険 | 条件を満たすと、傷病手当金の対象になる | 勤務先・加入している健康保険 |
| 市区町村の国民健康保険 | 会社員と同じ傷病手当金が、一般的に用意されているわけではない | 住所地の市区町村 |
| 国民健康保険組合 | 独自の給付がある場合もある | 加入している国保組合 |
| 退職前の健康保険の継続給付 | 一定の条件で、傷病手当金を引き続き受け取れる場合がある | 退職前の健康保険 |
インターネットで見つけた自治体の案内は、その自治体の国保についての説明です。ほかの市区町村や国保組合でも同じとは限らないため、自分が加入している先の案内や窓口で確かめましょう。
退職前の健康保険の傷病手当金を、引き続き受け取れる場合
国保の給付とは別に、退職前に加入していた健康保険の傷病手当金を、一定の条件で退職後も引き続き受け取れる場合があります。これは国保から出る手当ではなく、退職前の健康保険の給付として扱われるものです。
この継続給付には、退職前の被保険者期間(健康保険に加入していた期間)などの条件があります。「引き続き」受け取る仕組みなので、独立した後に新しく病気やけがをして働けなくなった場合と、同じようには考えられません。
退職の時点で病気やけがの療養をしているなら、退職前の健康保険に、続けて受け取るための条件と手続きを早めに問い合わせておきましょう。

退職前から療養中なら、まず退職前の健康保険へ。国保の窓口とは問い合わせ先が違う点に気をつけましょう。
なお、退職後に加入する健康保険には、国保のほかにも選択肢があります。どれを選ぶかで給付の内容も変わるため、退職後の健康保険の選択肢もあわせて確かめておくと判断しやすくなります。
独立後の家計:生活費と事務所代などの固定費を確かめる
独立後に病気で働けなくなると、その間の収入が止まることがあります。それでも、家賃や食費などの生活費に加えて、事務所代などの固定費の支払いは続きます。会社員のときより、確かめる支出の範囲が広くなる点に気をつけましょう。
収入が止まったときに備えて書き出すこと
- 毎月の生活費(家賃・食費・保険料など)
- 事務所代など、事業を続けるための固定費
- 公的給付の対象になるか、受けられる期間
- 生活費と固定費に回せる貯蓄
- 足りない分の備え方の候補
公的給付の対象と期間を確かめたうえで、足りない分を貯蓄でどこまでまかなえるかを見ます。民間の保障が必要かどうかを考えるのは、その後です。民間の保険は、貯蓄を増やすことや固定費の見直しと並ぶ、備え方の選択肢の一つです(公的保障と民間保険の考え方)。

健康保険の切り替えは、家計を見直すきっかけにも。収入が止まった月を想定して、出ていくお金を書き出してみましょう。
よくある質問
国民健康保険には、傷病手当金がありますか?
市区町村の国民健康保険では、会社員の健康保険と同じ傷病手当金が、一般的に用意されているわけではありません。ただし、国保の任意給付や国保組合の独自給付などには加入先によって差があるため、自分の加入先で確かめましょう。
国保に加入したら、休業中の手当は一切受け取れないのですか?
そうとは限りません。国保組合などに独自の給付がある場合や、退職前の健康保険の傷病手当金を一定の条件で引き続き受け取れる場合があります。当てはまるかは、加入先や退職前の健康保険に確かめましょう。
退職前から受けていた傷病手当金は、国保に切り替えると止まりますか?
被保険者期間などの条件を満たす場合は、退職前の健康保険の傷病手当金を、退職後も引き続き受け取れることがあります。国保の給付とは別の扱いなので、退職前の健康保険に条件と手続きを確かめましょう。
独立後、病気で働けないときに備えて何を確かめればいいですか?
加入先の給付の対象と期間を確かめ、生活費と事務所代などの固定費を書き出します。そのうえで貯蓄でまかなえる範囲を見て、足りない分は、固定費の見直しや民間の保障など、備え方を並べて比べましょう。
※国保の任意給付や国保組合の独自給付などは、加入先によって有無や内容に差があります。
※退職前の健康保険の傷病手当金を退職後に引き続き受けるには、被保険者期間などの条件があります。
※出典の渋谷区の案内は、自治体の案内の一例です。扱いは、加入している国保・国保組合で確かめてください。
※掲載している内容は、2026年10月2日時点の制度・公表資料にもとづく一般的な情報です。給付・免除には所定の条件があります。詳細は加入先・公的窓口でご確認ください。
※あいマネの相談(FP相談・保険相談)は、家計の整理をお手伝いする窓口です。公的給付の支給を決める窓口ではありません。


