投資・NISA・債券
債券は発売されたときしか買えない?既発債という選択肢
気になっていた債券の発売期間が、気づいたら終わっていた。そんなとき、もう債券は買えないとあきらめていませんか。実は、すでに発行された債券を、その時々の値段で買える場合があります。この記事では、新しく出る新発債と、発行済みの既発債の違いを整理し、既発債を選ぶときに並べて見たい5つの物差しを紹介します。
発売のときだけとは限りません。新しく出る新発債のほかに、発行済みの既発債を、残りの期間とその時点の値段を見て買える場合があります。既発債の値段は、金利や発行体の信用の変化につれて動き、額面からずれることもあります。そのため、利率の高さよりも、買値と残りの年数まで入れた利回りで比べるのが基本です。
この記事のポイント
- 発売日を逃しても、既発債という道がある
- 既発債の値段は額面からずれることがある
- 利率の高さより、買値込みの利回りで比べる
目次
既発債とは?発売日を過ぎた債券を買うという選択肢
債券には、これから世に出る新発債と、発行が済んで売り買いされている既発債があります。発売の時期を逃しても、既発債であれば、満期までの残りの期間と、その時点の値段を見たうえで買える場合があります。
電車にたとえると、新発債は始発駅から乗ること、既発債は途中の駅から乗ることに近いかもしれません。終点にあたる満期は同じでも、乗っていられる時間(残りの期間)は短くなり、運賃にあたる値段は、乗る時点の状況で変わります。
ただし、どの債券でもいつでも買えるわけではありません。どの金融機関がどの銘柄をどれだけ扱っているかはまちまちで、買いたいものがいつも用意されているとは限りません。

発売日を逃したら、その債券とはもう縁がないものだと思っていました。
既発債の値段が額面とずれる理由と、利回りへの影響
既発債の値段は、額面(満期に返ってくる約束の金額)と同じとは限りません。市場の金利や、発行体の信用の状況が変われば、値段は上がることも下がることもあります。そのため、同じ債券でも、いつ買うかで払う金額が違ってきます。
ここで気をつけたいのが、表面の利率と実際の利回りの関係です。利率は額面に対する利息の割合なので、買値が変わっても動きません。一方の利回りは、払った金額に対して計算するため、額面より高い値段で買えば、利率が高い債券でも利回りは低くなることがあります。考え方は利率と利回りの違いの記事で計算例とともに解説しています。
既発債は、利率の高さではなく「その値段で買ったときの利回り」で見る。
既発債を比べるときの5つの物差し
候補が複数あるときは、次の5つを同じ順番で並べると比べやすくなります。どれか1つだけを見ても、実際に受け取るお金の全体像はつかめません。
買値を額面と比べる
額面より高いか低いかで、満期に生まれる差の向きが決まります。
残りの年数を確かめる
残りが短いか長いかで、受け取る利息の合計や、差の1年あたりの重みが変わります。
受け取る利息を数える
満期までに受け取る利息の合計を確かめます。
満期の償還額を確かめる
満期にいくら返ってくる約束なのかを確かめます。
費用を加える
買うときにかかる負担も含めて、手元から出ていくお金をつかみます。
費用は、「手数料がかからない」と書かれていても、負担がまったくないとは限りません。途中の時点で買うときに必要になることがある経過利子とあわせて、「購入手数料ゼロ」でもかかる費用の記事で整理しています。
既発債についてのよくある思い込みと実際
既発債は、思い込みから選択肢を狭めてしまったり、反対に数字を読み違えたりしやすい分野です。代表的なものを3つ並べました。
よくある思い込み
- 発売の時期を過ぎた債券は、もう手に入らない
- 利率の高い既発債を選べば、利回りも高くなる
- 見つけた既発債は、いつでも好きなだけ買える
実際は
- 発行済みの既発債を買える場合がある
- 高い値段で買えば、利回りは低くなることがある
- 扱う銘柄や数量は、金融機関ごとに違う
なお、ここで説明しているのは、市場で売り買いされる一般的な債券の話です。個人向け国債を途中で換金するときは、市場の値段ではなく、決められたルールで受取額を計算します。くわしくは個人向け国債の中途換金の記事をご覧ください。
決め手は新発・既発の区別より、今買える条件
既発債も選択肢になると分かると、選べる幅は広がります。それでも大切なのは、新発か既発かの違いにこだわるより、今の値段と条件で何を買うのかです。5つの物差しをそろえたうえで、利回りや残りの期間が自分の予定に合うかを見ていきましょう。
既発債を検討する前のチェック
- 買いたい銘柄を、取引先の金融機関が扱っているか
- 買値は額面より高いか、低いか
- 利率ではなく、買値を入れた利回りで比べたか
- 残りの年数と満期の時期を確かめたか
- 費用や経過利子を含めた支払額を確かめたか

発売日を逃しても、選び方の基本は同じです。今の値段で買ったら何が、いつ、いくら受け取れるのかを並べて比べましょう。
よくある質問
既発債とは、どんな債券ですか?
すでに発行され、売り買いされている債券のことです。満期までの残りの期間と、その時点の値段を見て買います。値段は額面ちょうどとは限らず、市場の金利や発行体の信用の変化によって上がったり下がったりします。
債券の発売日を過ぎてしまったら、もう買えませんか?
既発債として買える場合があります。ただ、扱っている銘柄や数量は金融機関によって違うため、買いたい債券がいつでも見つかるとは限りません。
表面の利率が高い既発債は、利回りも高いと考えていいですか?
そうとは言い切れません。利率は額面に対する割合なので、買値の高さが反映されません。額面より高い値段で買えば、利回りは低くなることがあります。
既発債の値段が額面と違うのはなぜですか?
発行された後の値段は、市場の金利や発行体の信用の状況に応じて動くためです。そのため、満期に戻る額面との間に差が生まれ、その差が利回りに影響します。
新発債と既発債では、どちらを優先して選ぶべきですか?
区別そのものより、今の値段と条件で何を買うかが大切です。買値、残りの年数、受け取る利息、満期の償還額、費用を並べ、同じ物差しで比べましょう。
※この記事は、市場で売り買いされる一般的な債券についての説明です。個人向け国債の中途換金の仕組みとは異なります。
※どの銘柄をどれだけ扱うか、値段や費用がいくらかは、金融機関ごとに違います。
※掲載している内容は、2026年10月1日時点の制度・公表資料にもとづく一般的な情報です。制度は改正されることがあります。
※特定の金融商品をおすすめするものではありません。
