税金・確定申告のきほん
株で損したら、確定申告で取り戻せる?損益通算の考え方と申告前の確認
株で損をした。確定申告をすれば、その損が戻ってくるのでは? そう期待して、書類を集め始めていませんか? 確定申告は、損した金額を返してもらう手続きではありません。この記事では、損失が税金の計算でどう扱われるか、申告を続ける条件、NISAとの違い、申告が住民税や保険料に影響する場合を整理します。
2026年分所得税を中心に解説。2026年10月4日時点の制度にもとづく一般的な説明です。控除の額や申告の要否は、収入の種類・家族・ほかの控除などで変わります。具体的な判断は、税務署や税理士、お住まいの市区町村に確かめましょう。
株で損をした金額が、確定申告でそのまま戻ってくるわけではありません。一定の上場株式等の譲渡損失は、申告分離課税を選んだ配当等と損益通算でき、控除しきれない分は翌年以降3年間繰り越せる場合があります。必要な申告を続けるなどの条件があり、NISA口座の損失は対象外です。申告が住民税や国民健康保険料などに影響する場合も確かめましょう。
この記事のポイント
- 損失額そのものが戻る制度ではない
- 一定の損失は3年繰越も
- NISAの損失は対象外
目次
株の損失は確定申告で戻る?損した金額が返る制度ではない
株で損をしても、確定申告で損した金額がそのまま返ってくるわけではありません。確定申告でできるのは、一定の損失を、税金の計算に反映させることです。
具体的には、一定の上場株式等を売って出た損失(譲渡損失)を、申告分離課税(ほかの所得と分けて税金を計算する方法)を選んだ対象の配当等と差し引きできます。これを損益通算といいます。差し引いた結果、納めすぎた税金があれば、還付を受けられる場合があります。
※給与所得など、ほかの所得と自由に損益通算できるわけではありません。対象となる取引や申告方法にも条件があります。

確定申告をすれば、株で損した分が戻ってくると思っていました。
控除しきれない損失は3年繰り越せる場合も。申告を続ける
損益通算をしても控除しきれない損失は、翌年以降3年間繰り越せる場合があります。繰り越した損失を、その後の年の対象となる譲渡益や配当等から差し引く仕組みで、繰越控除といいます。
ただし、必要な申告を続けるなどの条件があります。株の取引をしない年も、繰越のために申告が必要な場合があります。損失が出た年だけ申告して、その後の申告をしないと、繰越を続けられなくなることがあるので注意しましょう。
損失が出た年
確定申告で、対象の配当等と損益通算します。控除しきれない分を繰り越すときも、申告が必要です。
翌年以降
株の取引がない年も、繰越のために申告が必要な場合があります。
繰り越せるのは3年間
繰り越した損失を、その年の対象となる譲渡益や配当等から差し引きます。
損益通算と繰越控除のしくみ全体は、株の損失の繰越控除の記事でも整理しています。
NISA口座の損は通算も繰越もできない。口座ごとに分ける
NISA口座で出た損失は、この損益通算や繰越控除の対象外です。同じように株で損をしても、どの口座で出た損失かによって、確定申告で扱えるかどうかが変わります。
課税口座(特定口座など)の損失
- 一定の上場株式等の譲渡損失は、損益通算できる場合がある
- 控除しきれない分は、翌年以降3年間繰り越せる場合がある
- 申告を続けるなどの条件がある
NISA口座の損失
- 損益通算の対象外
- 繰越控除の対象外
- 申告しても、ほかの利益や配当と差し引けない
まず、口座ごとの年間取引報告書で、損失が出たのが課税口座かNISA口座かを分けましょう。
NISA口座の損失の扱いと、損をした商品の考え方は、NISAで損をしたときの記事でくわしく解説しています。
申告で住民税・国民健康保険料・扶養に影響する場合
源泉徴収ありの特定口座の所得は、申告するかどうかを選べる場合があります。ただし、申告すると、住民税や国民健康保険料、扶養の判定などに影響する場合があります。
自治体の案内では、たとえば大津市が、株式や配当などの確定申告によって、国民健康保険の保険料などに影響が出る場合があることを案内しています。扱いは、住んでいる市区町村や加入先で確かめましょう。

所得税の還付だけを見て、申告したほうがよいと決めないこと。住民税や保険料まで含めて確かめましょう。
申告の前にそろえる・確かめること
- 口座ごとの年間取引報告書をそろえた
- 損失が出た口座が、課税口座かNISA口座かを分けた
- 給与や年金など、ほかの収入の資料をそろえた
- 前の年から繰り越している損失があるか確かめた
- 住民税・国民健康保険料・扶養の判定への影響を確かめた
投資の損失と、税制上の取り扱いは分けて理解することが大切です。FP相談では、運用と手取りの見通しを一緒に整理できます。申告をするかどうかや税額の判断は、税務署・税理士に確かめましょう。
よくある質問
株で損した金額は、確定申告で戻ってきますか?
損した金額がそのまま戻るわけではありません。一定の上場株式等の譲渡損失を、申告分離課税を選んだ配当等と損益通算し、納めすぎた税金があれば還付を受けられる場合がある、という仕組みです。
株の取引をしなかった年も、確定申告が必要ですか?
損失を繰り越している場合は、取引をしない年も、繰越のために申告が必要な場合があります。必要な申告を続けるなどの条件を、国税庁の案内や税務署で確かめましょう。
NISA口座の損失も、確定申告で使えますか?
NISA口座の損失は、損益通算や繰越控除の対象外です。損失が出た口座の種類を、口座ごとの年間取引報告書で確かめましょう。
株の損失は、給与と差し引きできますか?
給与所得との自由な損益通算はできません。損益通算できるのは、申告分離課税を選んだ対象の配当等など、条件に合うものに限られます。
特定口座の所得を申告すると、ほかに影響はありますか?
源泉徴収ありの特定口座の所得を申告すると、住民税や国民健康保険料、扶養の判定などに影響する場合があります。所得税の還付だけで判断せず、市区町村などで確かめましょう。
※対象取引・申告方法・連続申告などの条件があります。給与所得との自由な損益通算はできません。
※申告による住民税・国民健康保険料・扶養の判定などへの影響は、住んでいる市区町村や加入先で確かめてください。記事で紹介した自治体の案内は一例です。
※掲載している内容は、2026年10月4日時点の制度・公表資料にもとづく一般的な情報です。確定申告は2026年分の所得税(原則2027年に申告)、ふるさと納税は2026年の寄附(原則2027年度の住民税)を中心に説明しています。制度は改正されることがあります。
※税額の計算や申告の判断など、個別の税務相談は税務署や税理士にご確認ください。あいマネのFP相談は、家計や資料、希望を整理する窓口です。
※特定の金融商品や、ふるさと納税の寄附先・返礼品・仲介サイトをおすすめするものではありません。

