公的保障・公的介護
医療費と介護費、合わせて負担を軽減できる?高額医療・高額介護合算制度
医療費も介護費もかかっていると、「それぞれの月の上限を確かめれば、手続きは終わり」と考えがちです。ところが、医療と介護の自己負担を年単位で合わせて確かめる制度もあります。この記事では、高額医療・高額介護合算制度で合計する範囲と期間、差し引くもの、支給されない場合、2026年に新設された高額療養費の年間上限との違いを整理します。
2026年10月2日時点の制度にもとづく一般的な説明です。年齢・加入歴・所得・家族関係などの条件があり、支給の可否は各制度の窓口が個別に判断します。
条件を満たせば、軽減の対象になる場合があります。高額医療・高額介護合算制度では、同じ医療保険に加入する世帯の医療と介護の対象となる自己負担を、原則8月〜翌年7月で合計し、年齢や所得などに応じた基準額を超えると支給の対象になる場合があります。ただし、高額療養費などですでに戻る分は差し引くため、同じ費用が二重に戻るわけではありません。
この記事のポイント
- 医療と介護の対象負担を年単位で確認
- 原則8月〜翌7月、同じ医療保険の世帯で合計
- すでに戻る分は除き、二重には戻らない
目次
高額医療・高額介護合算制度とは?医療と介護を年単位で合計
医療費には高額療養費(高額療養費の仕組みと上限)、介護費には高額介護サービス費(介護サービスの自己負担の月の上限)があり、どちらも基本は、月ごとに自己負担の上限を確かめる仕組みです。ただ、医療と介護の両方に負担がかかっている世帯は、それぞれの月の確認だけで終わりとは限りません。
医療と介護の対象となる自己負担を、年間で合わせて確かめるのが高額医療・高額介護合算制度です。同じ医療保険に加入する世帯について、原則8月から翌年7月までの負担を合計します。その合計が、年齢や所得などに応じた基準額を超えると、支給の対象になる場合があります。基準額は人によって異なるため、この記事では具体的な金額を載せていません。
医療と介護の明細を1年分そろえる
原則8月から翌年7月までの、医療と介護の自己負担の明細を集めます。
すでに戻る分と対象外の費用を除く
高額療養費など、月ごとの仕組みですでに戻る分を差し引きます。食費や差額ベッド代などの対象外の費用も除きます。
同じ医療保険の世帯で合計する
同じ医療保険に加入する世帯について、医療と介護の対象となる負担を合わせます。
基準額と比べる
年齢や所得などに応じた基準額を超えると、支給の対象になる場合があります。

医療は医療、介護は介護で、それぞれ月の上限を確かめれば終わりだと思っていました。
高額療養費などで戻る分は差し引く。二重には戻らない
合算の計算に入るのは、病院や介護サービスに払ったお金を、そのまま足した額ではありません。すでに高額療養費などで戻る分は差し引き、食費や差額ベッド代(個室などを希望したときの部屋代の上乗せ分)などの対象外の費用も除きます。月ごとの仕組みで戻ったお金が、年単位の合算でもう一度戻るわけではありません。
合算で合計する負担
- 医療の対象となる自己負担
- 介護の対象となる自己負担
- どちらも、すでに戻る分を差し引いた残り
合算の計算から除くもの
- 高額療養費など、すでに戻る分
- 食費や差額ベッド代などの対象外の費用
家計の見通しを立てるときも、同じ費用を二重に数えないよう注意しましょう。月ごとの仕組みですでに戻る分を、合算の計算にもう一度入れてしまうと、戻る額を多く見積もることになります。支給されるかどうか、いくらになるかは、加入している医療保険や市区町村が個別に判断します。

合算で戻るかどうかは、申請の後に決まります。戻るかもしれないお金は当てにせず、毎月の負担と貯蓄で家計を考えましょう。
合算できない・支給されない場合も。世帯の範囲と条件
合算できるのは、同じ医療保険に加入する世帯の負担です。医療保険が違う家族を、同居しているだけで合算できるとは限りません。年齢によって合算の条件が異なることもあるため、家族それぞれの加入先と年齢を確かめておきましょう。
また、合計が基準額を超えていても、支給されないことがあります。たとえば、医療と介護のどちらか一方の自己負担がゼロの場合や、基準額を超えた差額が少ない場合などには、支給の対象外とする条件があります。
合算制度を確かめる前のチェック
- 医療と介護の両方に、自己負担がある
- 家族が同じ医療保険に加入しているか確かめた
- 原則8月から翌年7月までの明細をそろえた
- 高額療養費などで、すでに戻る分を確かめた
- 食費や差額ベッド代などの対象外の費用を分けた
- 期間中の転居や保険の切り替えを書き出した
2026年新設の高額療養費の年間上限とは別の制度
2026年8月には、高額療養費に年間上限が新しく設けられました。年間上限の区切りも原則8月から翌年7月なので、合算制度と混同しやすいかもしれません。ただし、年間上限は医療の高額療養費の仕組みの一つで、医療と介護の負担を合わせて確かめる合算制度とは別の制度です(高額療養費の「月」と「年」の区切り)。
年間上限が見るのは医療の自己負担で、介護の負担も合わせて確かめるのは合算制度です。窓口に問い合わせるときは、制度の名前をはっきり伝えましょう。
毎月の確認に加えて、年単位でも加入先に相談する
医療と介護の負担が続く世帯は、月ごとの上限の確認に加えて、年単位でも加入先に相談しましょう。相談・申請先は、基準日の時点で加入している医療保険と、市区町村の介護保険窓口です。基準日がいつか、どの窓口から手続きを始めるかは、加入先で確かめてください。
期間の途中で転居したり、医療保険が切り替わったりした場合は、その経緯も伝えましょう。いつ、どこからどこへ変わったかをメモしておくと、窓口で経緯を説明するときに役立ちます。
公的保障を前提に、家計の不足と備え方を整理したい場合は、あいマネのFP相談で一緒に考えることもできます。
よくある質問
高額医療・高額介護合算制度とは、どんな制度ですか?
医療と介護の対象となる自己負担を、年単位で合わせて確かめる制度です。同じ医療保険に加入する世帯について、原則8月から翌年7月までの負担を合計し、年齢や所得などに応じた基準額を超えると、支給の対象になる場合があります。
高額療養費で戻った分も、合算の計算に入りますか?
すでに高額療養費などで戻る分は差し引きます。食費や差額ベッド代などの対象外の費用も除くため、同じ費用が二重に戻るわけではありません。見込みを立てるときも、二重に数えないようにしましょう。
同居している家族なら、医療保険が違っても合算できますか?
同居しているだけで合算できるとは限りません。合算するのは同じ医療保険に加入する世帯の負担で、年齢による条件もあります。家族それぞれの加入先を確かめ、医療保険の窓口に相談しましょう。
医療費か介護費の片方しかない場合も、支給されますか?
医療と介護のどちらか一方の自己負担がゼロの場合などには、支給されない条件があります。基準額を超えた差額が少ない場合も、支給されないことがあります。くわしい条件は加入先で確かめましょう。
高額療養費の年間上限と合算制度は、同じものですか?
別の制度です。年間上限は2026年8月に新設された高額療養費の仕組みで、医療の自己負担について見るものです。合算制度は、医療と介護の対象となる自己負担を合わせて確かめます。
※年齢別の合算条件、同じ医療保険の世帯の範囲、基準額などには要件があります。
※高額医療・高額介護合算制度は、2026年に新設された高額療養費の年間上限とは別の制度です。
※医療・介護の片方の自己負担がゼロの場合や、基準額を超えた差額が少ない場合などには、支給されない条件があります。
※基準額は年齢や所得などで異なるため、この記事では具体的な金額や、戻る額の試算は示していません。
※掲載している内容は、2026年10月2日時点の制度・公表資料にもとづく一般的な情報です。給付・免除には所定の条件があります。詳細は加入先・公的窓口でご確認ください。
※あいマネの相談(FP相談・保険相談)は、家計の整理をお手伝いする窓口です。公的給付の支給を決める窓口ではありません。

