公的保障・公的介護
介護保険なら、施設の費用は全部1割?食費・居住費と自己負担の範囲
「介護保険があるから、家族が施設に入っても費用は全部1割で済む」。そう考えていませんか? 1割(一定以上の所得がある65歳以上の方は2割または3割)になるのは、介護サービスの費用です。施設の食費や居住費などは、別に負担するのが基本です。この記事では、施設の請求書を「介護サービス費」と「それ以外」に分けて見る方法と、家族で予算を考える前に確かめたいことを整理します。
2026年10月2日時点の制度にもとづく一般的な説明です。年齢・加入歴・所得・家族関係などの条件があり、支給の可否は各制度の窓口が個別に判断します。
全部が1割になるとは限りません。介護保険サービスの利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある65歳以上の方は2割または3割です。ただし、施設の食費・居住費・日常生活費などは、別に負担するのが基本です。請求書は「介護サービス費」と「それ以外」に分けて確かめ、1割という数字だけで家族の予算を決めないようにしましょう。
この記事のポイント
- 介護サービス費は原則1〜3割の負担
- 食費・居住費・日常生活費などは別に負担
- 自宅のサービスは支給限度額の超過に注意
目次
介護保険の自己負担は原則1割。2割・3割になる人も
介護保険のサービスを使ったときの利用者負担(サービスの費用のうち、利用者が自分で払う分)は、原則1割です。ただし、一定以上の所得がある65歳以上の方は、2割または3割になります。何割負担かによって、介護サービス費の自己負担の見込みも変わります。「介護保険は1割負担」という言葉だけで、家族の負担も1割だと決めつけないようにしましょう。
もう一つ大切なのは、この1〜3割が、介護保険の対象になる介護サービスの費用にかかる割合だという点です。施設で暮らすと、請求書にはサービスの費用のほかにも、食事や部屋に関する項目などが並びます。「1割」は請求書全体ではなく、その一部についての数字です。
施設の請求書は「介護サービス費」と「それ以外」に分ける
施設の食費や居住費(部屋代など)、日用品などの日常生活費は、介護サービスの費用とは別に負担するのが基本です。請求書を受け取ったら、まず項目を「介護サービス費」と「それ以外」に分けてみましょう。1〜3割の枠に入るのは、介護サービス費の部分だけです。
| 請求書の項目(例) | 1〜3割負担の枠 | あわせて確かめること |
|---|---|---|
| 介護サービス費 | 枠の中(原則1割。65歳以上で一定以上の所得なら2割・3割) | 本人が何割負担か |
| 食費 | 枠の外(別に負担するのが基本) | 軽減の対象になるか |
| 居住費 | 枠の外(別に負担するのが基本) | 軽減の対象になるか |
| 日常生活費(日用品など) | 枠の外(別に負担するのが基本) | 何が含まれるか |

施設のお金も、介護保険で全部1割になると思っていました。食事や部屋代は別なんですね。
「それ以外」の項目には、1〜3割という割合は当てはまりません。毎月の支払いは、介護サービス費の自己負担に、食費・居住費・日常生活費などを足した合計になります。家族で予算を考えるときは、この合計で見ることが大切です。
自宅で使うサービスの支給限度額と、施設の費用は別
自宅で暮らしながら介護サービスを使う場合は、要介護度(介護がどのくらい必要かの区分)などに応じた支給限度額があります。介護保険を使って利用できるサービスの上限のことで、超えてサービスを使うと、超えた部分は全額自己負担となることがあります。
この支給限度額は、自宅で利用するサービスについての仕組みです。施設の費用を見積もるときに当てはめると、話が混ざってしまいます。自宅での介護と施設を比べるときは、次のように分けて考えましょう。
自宅で介護サービスを使う
- 介護サービス費は原則1〜3割の負担
- 要介護度などに応じた支給限度額がある
- 限度額を超えた部分は、全額自己負担となることがある
施設で暮らす
- 介護サービス費は原則1〜3割の負担
- 食費・居住費・日常生活費などは別に負担するのが基本
- 条件によっては、食費・居住費の軽減を受けられる場合がある
※支給限度額の扱いは、個別に確認が必要です。限度額を超えそうなときは、ケアマネジャー(介護サービスの計画づくりを支える担当者)に相談しましょう。
食費・居住費の軽減は、所得や資産などの条件しだい
施設の食費・居住費は、所得や資産などの条件によって、軽減を受けられる場合があります。ただし、誰でも対象になるわけではありません。対象になるかどうかは条件をもとに個別に判断されるので、市区町村の介護保険窓口で確かめましょう。
また、介護サービス費の自己負担については、1か月の合計が所得などに応じた上限を超えた場合に、超えた分が支給される仕組み(高額介護サービス費)もあります。ただし、施設の食費・居住費や、支給限度額を超えて自己負担した分などは、同じようには扱われません(介護サービスの自己負担の月の上限)。

軽減は条件しだいです。まず軽減なしで月々の合計を出し、対象になるかは窓口で確かめましょう。
施設を選ぶ前に、月々の総額と一時的な費用を確認
施設を選ぶ前には、月々の総額に加えて、毎月とは別に一時的にかかる費用があるかも確かめましょう。施設の説明や見積もりを、請求書と同じように「介護サービス費」と「それ以外」に分けておくと、ほかの施設とも比べやすくなります。
介護施設の費用を確かめるチェック
- 本人が何割負担か(1割・2割・3割)を確かめた
- 見積もりを「介護サービス費」と「それ以外」に分けた
- 食費・居住費の軽減の対象になるかを窓口で確かめた
- 月々の総額と、一時的にかかる費用を書き出した
- 自宅のサービスの支給限度額を、施設の費用に当てはめていない
- 月々の総額をもとに、家族で予算を話し合った
分からない項目は、ケアマネジャーや施設、市区町村の介護保険窓口で確かめましょう。月々の総額を、本人の年金や貯蓄、家族の支援でまかなえるかも考えておきたいところです。公的保障を前提に、家計の不足と備え方を整理したいときは、FP相談も利用できます。
老後の医療費と介護費を、普段の生活費とは別の予算として考える方法は、老後の医療・介護の予算の記事で紹介しています。公的介護のほかの記事は、公的介護のまとめから読めます。

「1割」は介護サービス費だけの話です。請求書を分けて、月々の総額で家族の予算を考えましょう。
よくある質問
介護保険を使えば、施設の費用は全部1割になりますか?
全部が1割になるとは限りません。介護保険の1〜3割負担がかかるのは介護サービスの費用で、施設の食費・居住費・日常生活費などは、別に負担するのが基本です。請求書は項目を分けて確かめましょう。
介護保険の自己負担が2割・3割になるのは、どんな人ですか?
一定以上の所得がある65歳以上の方です。それ以外の方は原則1割です。本人が何割負担になるかは、市区町村の介護保険窓口などで確かめましょう。
介護施設の食費や居住費を軽くする制度はありますか?
所得や資産などの条件によって、食費・居住費の軽減を受けられる場合があります。誰でも対象になるわけではなく、条件をもとに個別に判断されます。市区町村の介護保険窓口で確かめましょう。
介護保険の支給限度額を超えたら、費用はどうなりますか?
自宅で利用するサービスには、要介護度などに応じた支給限度額があり、超えた部分は全額自己負担となることがあります。施設の費用とは別の仕組みです。扱いはケアマネジャーに確かめましょう。
※2割・3割の負担になるのは、一定以上の所得がある65歳以上の方です。本人の負担割合は、市区町村の介護保険窓口などで確かめてください。
※介護保険の対象外の費用、食費・居住費の軽減制度、支給限度額の扱いは、個別の確認が必要です。軽減には所得や資産などの条件があります。
※請求書の項目は説明用の架空の例です。項目の名前や内訳は施設によって異なり、この記事では具体的な金額を示していません。
※掲載している内容は、2026年10月2日時点の制度・公表資料にもとづく一般的な情報です。給付・免除には所定の条件があります。詳細は加入先・公的窓口でご確認ください。
※あいマネの相談(FP相談・保険相談)は、家計の整理をお手伝いする窓口です。公的給付の支給を決める窓口ではありません。
